ハリネズミってどんな生き物?
ハリネズミはネズミとつくことから、ネズミの仲間と勘違いされがちですが、実は生物学的にはげっ歯類ではありません。モグラとは近縁です。ネズミとは赤の他人、モグラの親戚といったところです。
モグラと同様、明るい所は苦手で薄暗い所を好みます。また、ストレスに弱いので、むやみやたらと触れ合うのは控えましょう。
ハリネズミの様子をみながら、適切に接しましょう。慣らし方について、詳しくは慣らし方のページをご覧ください。
ハリネズミのカラーバリエーション
ハリネズミのカラーは大まかにわけて4色あります。
スタンダード(ソルトアンドペッパー)
針は白と黒のバンドがあり、マスク・鼻・目は黒い。
シナモン
針は明るいシナモンブラウンのバンドあり、マスク・鼻は少し茶色がかったピンクで目は黒い。
シニコット
針は白とオレンジベージュのバンドがあり、マスク・鼻はピンクで目はブラックアイドシニコットは黒く、ルビーアイドシニコットは濃いルビー色。
アルビノ
針は全て白く、バンドはない。マスク・鼻はピンクで目は赤い。人気がないため最近はあまり流通していません。
*その他のカラーはハリネズミのカラーで詳しく記載しています。
大抵のショップではシニコットもシナモンと位置づけられ、区別されていません。当サイトでもあえて正確な分類ではなく、流通している一般的な呼び方を採用しています。
カラーは針の色の比率で細かく分類され種類が豊富で位置づけが難しいので、混同しているショップが大半です。カラーは、写真や実際のハリネズミを見て、自分の目でしっかり確かめて、購入しましょう。
また、上記以外のカラーの他にもピント・プラチナなどレアカラーがありますが、流通が少なく、他のカラーよりも値が張る事が多いです。
初めてハリネズミを飼う方であれば、カラーよりも健康状態を優先し、飼育方法についてのアフターケアがある信頼できる販売者から買いましょう。
ハリネズミの暮らし
単独飼育
ハリネズミは単独生活をする動物です。必ず一つのケージで1匹飼いましょう。同じケージに2匹以上いれると、喧嘩をして怪我をする恐れがあります。
また、他のハリネズミがいることでストレスに感じ、体調を崩す場合があります。繁殖行為以外では、絶対に一緒にしないでください。
活動時間
ハリネズミは夜行性の動物です。飼育下では最も活発なのは午後9時から0時、次いで午前3時とされています。昼間はほとんど寝ているので、あまり起こさないようにそっとしといてあげましょう。
ただし、長く飼っていると飼い主の生活時間に適応してくれる場合もあります。
冬眠
野生のハリネズミは冬眠をします。しかし、飼育下のハリネズミにとって冬眠は命を落とす危険性があります。
気温が20℃以下になるとハリネズミは行動が徐々に鈍くなり、さらに気温が18℃以下になるとハリネズミは完璧に冬眠状態になります。
冬眠(夏眠)してしまうと当然のことながら、眠っている間は食事を摂らなくなります。
野生のハリネズミは他の動物と同じく冬眠に備えてご飯を蓄えるなど、気温の変化とともに徐々に、長い時間をかけて冬眠への万全の準備をします。
飼育下での温度管理の失敗は、急激な温度変化となって、準備ができていないため、栄養を蓄えていない状態で一気に冬眠に入ります。そのまま放っておけばいずれ痩せ衰えて命を落とす事に繋がります。
また、冬眠(夏眠)をすると、体力はもちろんのこと、内臓へのダメージが大きく、健康に問題が出たり、その時は問題無くても将来的に内蔵の疾患になりやすくなります。
このことから、飼育下では冬眠(夏眠)を絶対させないように注意が必要です。
日頃から温度計をつけ、温度管理を徹底してください。
万が一、ハリネズミが突然食事を摂らなくなったり(食事量が減ったり)、動きが鈍くなってきた場合は冬眠(夏眠)に入る恐れがありますので、必ず飼育環境を見直し、出来るだけハリネズミを暖めて(夏の場合はケージ内を涼しくして)あげましょう。冬眠してしまった場合の対処方は、夏眠・冬眠対策に記載してます。
夏眠
冬眠同様、29.5度以上になると夏眠しています。必ず温度計を設置し、常に気温をチェックしましょう。
泡つけ(アンティング・香油塗り)
ハリネズミのさまざまな行動の中で、他の動物に見られない特徴的なのが、泡付け(唾液塗り・香油塗り・アンティング)です。
知らないものの臭いを初めて嗅いだ時に、それを舐めたりかじったりし、口の中で泡状の唾液と混ぜ、長い舌を使って背中やわき腹の針に塗り付けます。
不自然な格好で体をねじらせ、泡を塗る仕草はとても奇妙なものですが、異常な行動でも、病気でもありません。また、臭いの元となるものの色と同じ色を出します。
自身の体に周囲の物の匂いを付けることで、外敵から身を隠している。ないしは、自身が匂いに適応するため。など様々な見解がありますが、なぜこのような行動をするのかははっきりしていません。
食性
野生のハリネズミは主に昆虫、ミミズ、カタツムリやナメクジなどの無脊椎動物を食べます。
他に、カエル、トカゲ、蛇、鶏の卵や雛、小型哺乳類のほか、果実、キノコなども食べます。動物質に限らず、何でも食べ、一晩に体重の3分の1にあたる量を食べると言われてます。
このような食べ物を飼育下で用意するのは難しい上、用意したとしても扱いが難しいです。飼育下では専用のハリネズミフードを使ってください。副食として活餌のミルワームやコオロギが必要です。
ハリネズミフードはドッグフード・キャットフードで代替えできます。ハリネズミの食事についてはハリネズミのエサに詳しく記載しています。
知能
ハリネズミの脳は同じくらいのサイズの他の哺乳類と比べると、小さく、単純で原始的と言われております。しかし、決して「頭が悪い」という訳ではありません。
新たに起こったことを学習することもできますし、においと声の区別によって飼い主さんと他の人を区別することもできます。
また、根気よく教えるとコマンドに従って、丸まったり、お手もできるという報告もされていますが、あくまで極端な例です。
針
ハリネズミの身体に付いている針の数は、約6-7000本有ります。この針は外敵から身を守る役目も果たしていますが、高いところから落ちた時には、衝撃を和らげ怪我をしないように、クッションの役割も果たしています。
針を立てて丸まりジャンプする
大変警戒している時に、体を丸め、針を立てます。その際、プシュープシューと鳴き声をあげ、跳ねながら威嚇します。この時、ハリネズミを無理に触るのはストレスになるので控えましょう。
また、どうしても触らなければならない等(病院へ連れて行く)の場合は、皮手袋(軍手では針が突き抜けて無意味です。専用のモノが販売されています)やタオル・布等で優しく持ち上げ、速やかにケージに入れてください。
おでこの針を立てる
体を丸めるほどの警戒ではないが、少し驚いた時におでこの針を立てます。
おでこの針を突きだした頭で、頭突きしてくることもあるので、気を付けましょう。
針を寝かせている
安心できる環境で、警戒することも無く、人にもよく慣れていれば、針は背中に沿って寝ています。針を撫でることができます。慣れているハリネズミであれば、抱き上げたり、ハリネズミの背中を下にして手のひらに乗せることもできます。
鳴き声
ハリネズミは通常全く鳴かず静かな動物ですが、いくつかの特徴的な鳴き声があります。
どの鳴き声も小さな音で近隣の迷惑になるような音量は絶対にありません。また、ハリネズミは人間が聞き取れない音(40~90kHz)を出しています。特に子供と母親とのコミュニケーション手段となっています。
警戒、威嚇
鼻孔から勢いよく息を吐く音(シューシューやシュッシュッ、プシュープシュー)
は攻撃や威嚇と言われます。
探険している時
あちこと探険したり、食べ物を探しまわっているときに、フンフンと鼻を鳴らすような音をだします。
繁殖のとき
繁殖時、オスがメスに向かってピーピーと鳴き気を引こうとします。
赤ちゃんの鳴き声
赤ちゃんハリネズミが母親を呼ぶときピーピーと鳴き声をあげます。
ハリネズミの感覚
視覚
ハリネズミの視力はあまり良いとはいえません。段差を感知できない場合もありますので、高い所に置いた時は特に注意が必要です。
聴覚
聴覚は優れており、飼い主の声と別の人の声を聞き分けることもできます。
嗅覚
嗅覚は大変優れており、臭いで食べ物を探す、外敵から身を守る、自分のいる場所を知る、繁殖相手を探す、母子が互いを探すなど、ハリネズミにとって嗅覚は大変大切な器官です。
ひげ
触覚器官であるひげは、狭い場所を潜り込む時に周囲の状況を知らせるために使われます。
ハリネズミの便
緑色の便
通常は茶色の便ですが、しばしば緑色の便がみられます。
特に、飼い始めたばかりで環境に慣れない時によくみられます。飼い始めたばかりの飼い主様だと、緑色の便をひどく心配されますが、基本的に大した問題ではありません。
お迎えして3日~5日は当たり前ぐらいに思ってもらった方がよいかもしれません。
食欲・元気があり、たまに緑色の便になる程度であれば、心配はいりません。
長く飼っている子でもたまに緑色の便が見られることがあります。
また、ここでいう緑色の便とは、緑色の野菜やエサなどを食べてない状態でのことを言います。当然ですが、緑色の野菜を与えれば便は緑色になります。
ただし、長い期間緑色の便しかしない状況が続いたり、食欲・元気がない状態が続く様なら、健康上の問題がある可能性が高いです。
考えられる原因は、ストレスが内臓にかかっている場合、内部寄生虫や細菌感染、または、古くなったエサを食べてしまって食中毒状態にある場合、などが考えられます。
とはいえ、自己判断で対処するのは危険なので、早めに動物病院にかかって専門医の診断を受けましょう。
寿命
ハリネズミの寿命は5年~10年と言われてます。
飼い方が悪く、温度管理や健康管理が不十分な場合や、不慮の病気を患った場合は、3年未満で亡くなる場合が多いです。
病気をしなければ5年以上生きますので、そういう心構えで飼いましょう。