ハリネズミのエサ

ハリネズミのエサ

ハリネズミの主食

ハリネズミ専用フード

ハリネズミ専用のフードが販売されていますので、それを利用するのが一番簡単です。
けれども、ハリネズミはグルメな生き物で、飽きたら「偏食」をしてフードを食べなくなります。ひどい場合は何日も一切食べない絶食状態になります。
フードを何種類か用意して、単体で使ったり混ぜて使ったり、他の食材と一緒に使ったりして、日毎に味を変えてやるのが理想です。
以前はハリネズミ専用フードはなかなか手に入らなかったため、代用品としてフェレットフードやキャットフードが定番とされています。
けれども、最近は通販などで簡単に専用フードが何種類も入手できるので、あえて代用品を使い続ける意味はありません。
ハリネズミフードは割高なので、安いキャットフードを選ぶ方もいるかもしれませんが、国内で主流の安いキャットフードの主原料は魚です。
野生化のハリネズミは魚を食べません。また、毛玉を吐く生き物でもありません。
嗜好性はないと言っていいでしょう。嫌いなものを無理やり食べさせるようなものです。
外国産の鶏肉が主原料のものは使えますが、値が張るので本末転倒です。

「偏食」はハリネズミを飼う上でかなりやっかいな部分ですから、エサは飼育する上での重要なポイントとなります。
けれどもハリネズミフードの流通のおかげで飼い方はより簡単になったといえます。

ハリネズミ専用フード以外の主食

ハリネズミ専用フードがどうしても手に入らない場合や、どのハリネズミフードも食べない場合などに限るべきですが、
フェレット用フードやドックフード、キャットフードなどが使えます。
飼育下のハリネズミはフェレットや犬猫よりも脂肪分の必要がなく、たんぱく質がより多く必要です。
脂肪分が少ない高齢用や肥満用のフードを選びましょう。

栄養の偏りを防ぐため、ハリネズミ専用エサとミックスして使いましょう。
その際、顎の力が弱いハリネズミに、フェレット用フードやドックフード、キャットフードは硬すぎますので、
必ずふやかしてから与えてください。

与える量とバランス

野生のハリネズミは体重の3分の1の量の食事をとると言われてますが、野生と飼育下のハリネズミでは運動量が違います。
飼育下では1日に30~70カロリーが適切だという研究もありますが、個体ごとに調整する必要があります。

まず、下記の量とバランスが理想ですので、目安として与えてください。

一日の食事の目安

  • 主食…大さじ1~2杯
  • その他の動物質(茹で卵、カッテージチーズ)…小さじ1~2杯
  • おやつ(ミルワーム等)…少量
  • 野菜(ニンジン、リンゴ等)…小さじ半分

主食のハリネズミフードだけを与える場合は大さじ2~3杯が目安です。(フードの説明に従って下さい)

量やバランスの見直し

上記の量とバランスを参考にして食事を与え、体重や体格、便の状態などを見ながら、状況に応じて加減しつつ、そのハリネズミに適した食事内容を決めていってください。
また、成長期には栄養要求量が増えますから、多めに与えてください。生後半年までのヤング個体には、毎日食べ残しが出るほど与えてもいいでしょう。ただし肥満気味になれば見直してください。

与える回数

ハリネズミは夜行性で一晩中昆虫類を捕食しながら歩き回り、少しずつ何度も食べる食性です。もしハリネズミの食事に手間をかけられるなら、夜の間に数回にわけて与えるのが理想的ですが、現実的には難しいことです。

そこで一般的で簡単な方法は、夜ハリネズミが活動し始めしばらくしてから1回与えるようにしてください。余裕があれば、2回に分けて与えられると良いでしょう。

与え方の注意点

初めて与えるものは少量ずつ与えて様子を見てください。乳製品は大量に与えると下痢をしやすいですし、昆虫類も慣れていないと消化不良を起こす恐れがあります。

また、与えた食べ物は、まだ残っていても、少なくても朝には飼育施設から取り出してください。残った食べ物は傷みやすいですし、いつでも食べられるようにしておくと食べすぎ、肥満の原因にもなります。

生エサ・活きエサ

生エサ・活きエサはおやつ

ハリネズミは食虫目に分類されることからも分かるとおり、野生では虫を主食としていますので、なんといっても虫が大好物です。
(嫌いな子もいます)
自然界にあるそのままの食べ物が好きということです。
フードを主食にして副食に虫エサ・活きエサを与えることをおススメします。

ハリネズミに与える活きエサとしてはミルワームとコオロギが一般的です。これらは家庭で繁殖させて増やすこともできます。生エサは冷凍のピンクマウスがあります。

野生化では虫を主食としているといっても、飼育下では違います。活きエサ・生エサは嗜好品と考えましょう。ハリネズミにとっての活きエサ・生エサは、人間にとっての嗜好品、お菓子やおやつのようなものです。
ミルワームやピンクマウスなどの脂肪分が多いものは、食べすぎると肥満の原因となり健康を損なうおそれがあります。また、与えすぎると生エサ・活きエサしか食べなくなることがあります。
あくまでおやつ程度と考えて、主食のフードの食いが落ちすぎない範囲で与えましょう。(当然ですが適切な量に控えてもミルワームを食べた分だけフードを食べる量は少なくなります)

ミルワームやコオロギは虫を食べる小動物、爬虫類、熱帯魚などのためによく流通しています。それらを販売している総合ペットショップや熱帯魚店などを探してみましょう。
一般のお客さんに配慮して店頭には並べていないことが多いです。店頭に見当たらなくても店員さんに尋ねてみると販売してくれることがあります。

ハリネズミの大好物はミルワーム

活きエサとしてミルワームという虫が売られています。ミルワームの成虫は小ぶりなカブトムシのメスに似ていますが、エサ用にするのは幼虫です。ちなみにミルワームは幼虫でなくてもさなぎ、成虫ともに食べます。
また、ミルワームにはジャンボミルワーム(別名ジャイアントミルワーム)と普通のミルワームがあります。
ジャンボミルワームは名前どおり大きいのですが、ハリネズミならば小さい子でも食べられるサイズなのでジャンボミルワームを選びましょう。
脱皮したてのやわらかいものをより好みます。

活きエサとしてのミルワームの特徴は、嗜好性です。殆どのハリネズミは一番よく食べます(まれにミルワームが苦手なハリネズミもいます)。
警戒して針を立てていても、ミルワームの匂いがした途端に警戒を解いて、くんくん匂いをかいでミルワームの方へ来たりします。
大好物のミルワームを利用して、まだ飼い主に慣れていないハリネズミとコミュニケーションすることができます。
また、太りやすいことの裏を返せば、偏食による絶食や病気などで体重が落ちすぎたときには多めに上げることで体重を戻すことができます。

コオロギ

コオロギは虫エサとしてミルワームよりも一般的で爬虫類、熱帯魚によく利用されます。
フタホシコオロギとイエコオロギの2種類があり、後者の方が小ぶりで動きが早いです。
ハリネズミに与える場合は捕まえやすいように、動きが遅いフタホシコオロギがいいでしょう。
フタホシコオロギでも捕まえるのが苦手なハリネズミだと、なかなか食べられない場合があります。
そういうときはピンセットなどで足をつぶすか、頭をつぶしてから与えるといいです。イエコオロギを与える場合も同じようにします。
ミルワーム同様、脱皮したてのやわらかいものを好みます。

コオロギはミルワームよりも太りにくいですが、ミルワームほど嗜好性はありません。ハリネズミによって個体差があり好き嫌いが分かれます。

ピンクマウス

ピンクマウスは爬虫類、肉食動物用に流通しています。冷凍したものが大きさごとにサイズ分けされて販売されています。
ハリネズミは一口で丸呑みするわけではないので、口の大きさよりも大きくても食べます。
ただ、サイズが大きすぎると食べ物と認識しない場合がありますので小さいものから試しましょう。

ミルワーム以上に太りやすいので与えすぎには注意が必要です。病気や絶食で体重が落ちたときだけ与えるのをおススメします。
普段から与える場合は週1回1匹程度にしましょう。
冷凍もので保存に便利なので冷凍庫にストックしておくといいです。

その他の活きエサ

ミミズ

釣具屋で手に入ります。ドバミミズ、アカミミズを選びましょう。シマミミズはハリネズミに有毒なものを含むので絶対に避けてください。

自家採取の昆虫

ミミズ、コオロギ、バッタ、カタツムリ、ナメクジなど野外で採ってきたものも使えます。農薬や工場排水などで汚染されている場所で採るのは危険です。

活きエサ、虫エサに抵抗がある人へ

ハリネズミが虫を好むからといって飼い主まで虫を好きになる必要はありません。
生きた虫を買ってくるなんて想像するのも無理と思うでしょう。ハリネズミを飼っていても虫が苦手な人は多いです。
実際に虫エサを与えずハリネズミフードだけで飼っている人もいます。
けれどもハリネズミにとって虫が大好物なのは確かです。
虫が苦手な人でも慣れてしまえば抵抗はなくなりますので、チャレンジしてみることをおススメします。
最初の壁さえ乗り越えれば自分でもビックリするほど平気になります。

それでも無理な場合はミルワームやコオロギの缶詰を利用しましょう。これは活きエサほど食いがよくありませんが、フードよりもよく食べます。

缶詰でさえどうしても無理な場合、無理をして虫エサを与えなくてもいいです。最近のハリネズミフードは栄養価を考えて作られていますので健康面では問題ありません。
虫エサの扱いに自信がないからといってハリネズミ飼育をあきらめる必要はありません。
人間だってお菓子を食べないでも生きていけます(人間の場合はお菓子を食べない方が健康だったりしますが、ハリネズミの場合は適度な虫エサは健康に役立ちます)。
犬だっておやつをあげるかあげないかは飼い主次第です。
飼い主に負担がかかりすぎるのは本末転倒だと思います。飼い主とハリネズミがよい関係をきずくことが大切です。無理をしてハリネズミへの愛情が薄れるようなことはあってはなりません。
新鮮な食べ物はある程度与えた方がいいので、その場合は必ず下記の人間の食品を与えてください。

人間の食品を使う

ハリネズミのフード飽き対策として、人間の食品を使う方法があります。生エサと同じように新鮮なものを与えられるという特徴があります。

品名 与え方
鶏肉 脂肪分の少ないささみをゆでてから与えます。熱々すぎるとやけどするのでよく冷ましてください。むね肉の脂身の少ない部分でもいいでしょう。
たまご 必ずゆでて与えます。生たまごはサルモネラ菌が危険です。肥満の子には白身だけあげるといいです。
レバー・ハツ 新鮮なものならば生で与えることもできますが、加熱して与えた方が安心です。電子レンジで加熱するかゆでて与えます。
ミルク ハリネズミは乳糖が消化できないので牛乳は控えましょう。ハリネズミ用のミルクかペット用のゴートミルク(ヤギミルク)を与えます。下痢をしやすいので少量から与えて様子を見てください。
他の乳製品 カッテージチーズやヨーグルトを与えることができます。
野菜 ニンジン、カボチャ、キャベツ、サツマイモ、コマツナなど。ゆでて食べやすい大きさに切ってから与えてください。少量でいいです。
果物 リンゴ、バナナ、梨など。生で与えられます。少量でいいです。

果物や野菜はたんぱく質がありませんので主食にはなりません。主食に付け合せ程度の量にしてください。
また、ハリネズミは顎の力が弱く、口の中が弱いので硬すぎるものは与えないでください。加熱調理したり水でふやかしたりして柔らかくしてあげてください。

ハリネズミに必要な栄養素

一般的には、カルシウム:リン=1.2~1.5:1

タンパク質 脂質 繊維質
30~50% 10~20% 15%

として、飼育書などにも大きく書かれています。

これだけで済むほど簡単じゃない栄養学

けれども、ハリネズミに必要な栄養素といっても、残念ながら、学術的なレベルでさえ、明確な答えはまだありません。
微量元素の比率などは犬や猫ですら曖昧です。ハリネズミに関しては尚更です。
当然ですが、人間ですら「これだけの栄養素を取れば絶対に長生きできます」ということは分かっていません。

例え飼育者がカルシウム:リン=1.2~1.5:1 の比率を徹底したとしても、ハリネズミが必ずしも元気に長生きするわけではありません。
この比率は人間に当てはまるとされているものです。勉強熱心な飼い主は、この比率を徹底しています。リンが過剰になりがちなのでカルシウム剤を添加される方も見受けられます。
確かに人間もハリネズミも実質的には雑食性の食性の動物でしょう。けれども見た目が圧倒的に違います。骨格が違います。ハリネズミは大量の針を身にまとっています。
果たして人間と同等の比率が絶対なのでしょうか。

なぜカルシウムとリンが比率で語られるかというと、リンを取り過ぎるとカルシウムの吸収が阻害されるからです。
つまり、リンが過剰な状態が深刻化すればカルシウム不足になるということです。
これは高校の家庭科で教わるようなれっきとした事実です。これを重く見た飼い主がカルシウム剤を与えるます。
すると、カルシウムを取り過ぎるとマグネシウムの吸収が阻害され、今度はマグネシウムが不足します。
カルシウム剤を与えて満足している飼い主はマグネシウムの不足に気づきません。

自己流の事故

「生兵法は大怪我のもと」です。学術的にすら答えの出ていないことを、にわか仕立ての栄養学で正しい答えが得られるわけがありません。
表面的な情報を鵜呑みにしてエサの成分表や数字とにらめっこするよりも、飼育に関して経験のある人と同じエサを与えるのが最良です。
現にキャットフードはタンパク質、脂質、繊維質の比率に最もよくあてはまります。キャットフードを薦めている方も多いです。
ですが、ハリネズミは毛玉を吐くのでしょうか。

もちろん、誰にでも失敗はあります。けれどもまず最初くらいは教科書通りにしていただきたいです。
初心者が下手な知識や理論で、自己流を押し通すべきではないと思います。
まずはハリネズミ専用のものを使ってください。
自己流にこだわるにしても、ハリネズミ専用の確実なものを使って、まずは基本的なことを経験し、勝手が分かってから代用品や自己流をちょっとずつ試すべきです。

悩む必要がないように、メーカーがあります

ハリネズミを飼うのに屁理屈は要りません。屁理屈の部分はハリネズミフード、用品のメーカーがやってくれています。
何種類もある専用のものから選んで試して、よく食べるもの、自分のハリネズミに合ったものを選ぶだけです。
どんなに理にかなったエサでも、食べなければ何の意味もありません。
自分のハリネズミがどのフードが好きでどのフードが嫌いか把握してください。
パッケージの裏に書かれた数字よりも重要な情報だと思いませんか?
「生兵法は大怪我のもと」と声を大にして繰り返させて頂きます。

信頼できる販売元でハリネズミを買って、エサや飼い方はその販売者に一々相談し、ハリネズミにとって最良の選択をするのが良いでしょう。
飼い方のノウハウやアフターケアが十分ではない販売者で買われた方は、「自己流」でやるしかなく、危ない橋を渡っている。そんな状況をよく見受けられます。
ハリネズミ業界は小さい業界だけに無責任な業者が多々あります。大変残念なことですが、最初の販売者選びが重要です。
(参照:ハリネズミの購入方法

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